西陣織には様々な特徴がありますが、その一つに「シルクの発色の良さ」というのが挙げられます。発色の良さというのは糸自体の発色の良さ、シルク繊維そのものの特徴的な形状によるものもありますが、西陣織という織物特有の織組織の構造からくるものも大きいです。
織物は経糸(たていと)と緯糸(よこいと)から生地を構成しています。様々な織組織によって経糸と緯糸の表面に出る分量が組織によって決まってくるのですが、その配分によって目に見える色というのが、仮に同じ色を使っていても織組織が変わると色が違って見えるのです。
また光の当たり方によっても色が様々に変化して見え、単純な配色の柄でも深みのある生地に仕上がります。織物はプリントと違って使える色数に限りがある為(厳密にはプリントにもありますが)、この織組織の変化で色を変化させて魅せる技というのは非常に重要なテクニックです。
計算し尽された織組織の変化により千差万別の柄を再現する事を可能にしています。
特にこの格子柄特集にてご紹介している格子柄(所謂チェック柄)は特にその織組織の変化を受けやすい生地にです。シンプルなギンガムチェックの様なチェック柄であっても織組織や経色を変化させ、使っている色以上の色を使っているように織り上げます。
思わず見とれてしまう様な美しい格子柄は、日常の中でほっと一息つかせてくれるそんな味わい深い柄です。