肌触りが良く見た目もとても美しいシルク製品ですが、天然繊維の中でも少しお手入れ方法が難しいというか、天然繊維ならではの注意しなければいけない部分があったりします。そこでシルク製品のお手入れ方法を纏めてみました。参考にして頂き末永くお使い頂ければ幸いです。
ただシルク製品といっても色々な形態がありますので、ここでは私たちAtelier Kyoto Nishijin(アトリエキョウトニシジン)の西陣織を使った製品に関してのお手入れ方法に絞らせて頂きます。(財布やバッグ・小物等と思って頂ければと思います)
目次
西陣織シルクを使った和雑貨を長くお使い頂く為に
まずシルクについて知っておいて欲しいことがあります。それはシルクというのは天然繊維で主成分はタンパク質で出来ているという事です。ですので必ず劣化致します、これはどうやっても防ぐ事は出来ません。黄変などは最もな例の一つです。
長くお使い頂く為に以下の項目に注意してお使頂けると、シルク製品の劣化を最小限に防ぐ事が出来ると思います。
①直射日光を避ける
シルクというのは元々は蚕が紫外線から身を守るために作った繭から糸にしたものです。出来上がったシルクにも紫外線を吸収するという性質がありますが、吸収するという事は徐々に紫外線によってシルク自体が黄変していく原因にもなります。窓際などに置いておけば徐々に日焼けしてしまいます。保管時には十分ご注意下さい。
また意外と思われるかもしれませんが、蛍光灯下でも徐々に黄変します。特に店頭ディスプレイなどの蛍光灯下に常に晒されると劣化が早いです。(店頭の商品を購入される場合はストックから出して貰った方が良いですよ)
②水に濡らさない
Atelier Kyoto Nishijin(アトリエキョウトニシジン)の商品には撥水加工をしている商品が何点かありますが、撥水加工をされていても水に濡れない訳ではありません。無加工品に比べて水シミになり難いというだけです。
シルクの糸と言うのは通常何本かを纏めて撚っています(捩じっている)、そこに水が染みると一度膨張しますが、乾くと収縮します。その時に周りの部分と繊維表面の光の受け方が変わってしまい、結果水がシミの様に残って見えてしまいます。所謂ウォータースポットと呼ばれるものです。
またシルクは染料により様々な色に染めていますが、水分が付着する事により染料と糸との付着が弱くなり、色落ちする可能性があります。水分が付着した場合はすぐに柔らかい乾いた布等で軽く水を吸い込ませるように取り除き、直射日光を避けて十分に乾かしてから御使用下さい。
③強く擦らない
汚れが付いてしまったので、落そうと強く擦ると色落ちする可能性があります。特に濃い色のシルクは染料と糸の結びつきが弱くなりがちなので、色落ちし易いです。
汚れの種類にもよりますが、無理に落とそうとせずに一度クリーニング業者さんへご相談いただくのも良いと思います。
④先の尖った物で引っかかない
織物は経糸と緯糸で織り上げていくもので、しっかり糸と糸が交差しているので、そこまで弱いものではありませんが、尖った物で糸を引っ掛けたりすると極稀に糸切れやループ状に糸が表面に浮いてしまう事があります。このような状態になってしまうと直す事が不可能になってしまいますので、十分に注意してご使用ください。
出来てしまった場合は出来るだけ目立たない様に糸をカットして使って頂くしかありません。少し表面に残った糸はライターの火で軽く炙ると綺麗になります(燃やさないように注意!焦げます)
⑤虫食いに注意する
保管時の注意点になりますが、シルクはタンパク質を主成分としているので、虫食いが発生します。ネットで調べるとシルクは食われないとか書いてある所がありましたが、全くのデタラメです。
ヒメマルカツオブシムシとヒメカツオブシムシの幼虫が絹を食べます。鰹節が好物らしいですが困った奴らです。保管時には必ず防虫剤と一緒に冷暗所に保管しましょう。(シルクは湿気も嫌うので風通しの良い冷暗所がベストです)マーガレットやデイジーなどの白い花に良く集まる虫ですので、近くにある時は十分注意して見て下さい。*花瓶に生けてある花にも寄って来る場合があるのでご注意下さい。
また使う防虫剤ですが成分により生地を傷める場合があるので、取り扱い注意を良く読んでお使いください。特に金糸・ラメ糸などを使用している生地は特に注意して下さい。
*余談ですが、天然繊維ではなく合成繊維でも虫食いが発生する場合があります、それは皮脂などの汚れが付いたものです。しっかり洗濯やクリーニングしてからしまいましょう。
Atelier Kyoto Nishijin(アトリエキョウトニシジン)の仕様しているシルク
Atelier Kyoto Nishijin(アトリエキョウトニシジン)で使用しているシルクは全て天然のシルクを使っています。商品により若干他の繊維を混ぜる場合もありますが、基本的には経糸シルク・緯糸シルクのシルク100%の西陣織生地を使っています。
これからも西陣織を使った素敵な和雑貨をお届けすると共に、絹の持つ素晴らしさもお伝えしていければと思います。